2010年1月18日月曜日

能登紀行(4)

カニの当選に始まった、すこぶる楽しい能登の旅。

最終日は、能登町からもう一度輪島に戻って
漆器会館に向かいました。

漆器会館では市内約100の漆器専門店が
共同出店していて、さまざまな個性の漆器をみること、買うことができます。
2階は漆器資料会になっています

実は、HPなどには書いてありませんが、2階では
日展作家の小伊勢隆平先生が、沈金の指導をしてくださる
体験講座がありました。
(先生がいらっしゃる時に限り開催されているようです)

興味津津で挑戦した私たち。


沈金とは、漆塗りの装飾法の一つで、
沈金刀で漆塗りの表面を彫り、そこに漆を塗りこみ、
最後に金粉やプラチナ、岩絵の具などの顔料を刷り込んで
定着させるものです。

私は水仙、夫は鉄線を選びました。
先生がスケッチしてくださった下絵をもとに作成します。

↓は夫の挑戦した鉄線の下絵



まず、下絵を塗の完了したパネルに写します。
私の挑戦した水仙はこんなデザイン。



そして、沈金刀の使い方をちょっと練習。
沈金刀、はこんな感じのものです。


箕輪漆行さんのHPより拝借させていただきました。

彫る、というより、傷をつける、とか、ひっかく、とか
そういう感じの繊細な作業。
さまざまな技法で、表現します。


そしていよいよ本番。

やり直しの一切きかない一発勝負。
緊張の作業が続きます。

途中先生に、「ここをもう少しこんな風に線をいれましょうか?」
とか、「ここに点描をしてみましょうか?」とかご指導を頂き、
下絵のスケッチの線だけでは表現できない、立体感を持った作品にする
作業をしていきます。


先生が「こんな風に線を入れてみましょう」と、アドバイスしてくれます。

そして彫りあがったのがこんな感じ。
上下逆でみにくくてすみません。



木彫りなどとは違い、表面を軽く傷つけるような繊細な仕事なので、
時々チョークの粉のようなものを表面に塗りながら、
作業を確認しつつ進めます。そうでないと、あまり彫ったところが見えない
のです。

そして「仕上げは、先生~♪」。

余分な粉を払ってから、生漆を置き、布などでこすりながら
今彫った溝に漆を入れていきます。

余計な漆を布で取り除いたら、ここからは色を配していきます。
何色もの色を重ねて行く作業。魔法のようにいろいろな色を
重ねると、あっとい間に仕上がっていきます。







金粉だったり、プラチナだったり・・・・
美しく仕上げを施していただくと・・・・

こんな感じに仕上がりました!


私の初作品♪


夫の初作品♪

すっごく楽しかったです~!!!

以前から何か加飾をやってみたいと思っていましたが、
蒔絵?卵殻?・・・今回、沈金をやってみて、二人とも
沈金が好きなことがわかり、これからも続けて練習してみたい!
と思いました。

褒め上手な先生のご指導のお陰で、はじめてにも関わらず
楽しく作業が出来、こんな素敵な思い出の品を作ることが出来て
とても幸せでした。

実は私、能登に来た時は、右手が漆かぶれでパンパンで痒く、
箸を持つことすら難しかったんです。
しかし、2日間、こちらの温泉に入ってお湯に浸していたところ、
この日にはすっかり腫れも、痒みも引き、沈金に挑戦することが
出来ました。

今までの漆かぶれの経験上、海水はきっと良いだろうと思っていて、
海水に近い成分の能登の温泉ならきっと効き目があるに違いない!
と思っていましたが、ここまで完璧に治るとは思っていませんでした。
お陰でこんな体験が出来て、ほんと良かった♪

能登滞在中は、他にも、輪島漆芸美術館を訪れたり、
輪島屋本店の中にある「花ぬり」という喫茶店を訪れたり、
輪島塗が並ぶお店を訪ねたり、と輪島塗一色のこの街を
堪能しました。


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今回の能登への旅行では、本物に触れることの大切さを心の底から
実感しました。やはり本物のもつ力はすごいです。

タクシーの運転手さんが、この街は本当に保守的なところです、
とおっしゃっていました。伝統を守ることは簡単なことではないと
思います。でも敢えてそれをやり続けている場所があり、
そこには本物の持つ力が溢れている。

私はやはりそういう「正しさ」に心惹かれるのだな、と
実感しました。

さんなみ、もそうです。
建物の基礎から自分で作る。
自分の家だからこそ、手を抜かず、一般の業者に頼んだら
ありえないような丁寧な作業をする。

食べ物もそう。
コストを、利益を考えたら出来ないようなことが、
自らの手で作ることで実現できる。

さんなみのご主人がおっしゃるように
「当たり前のことを、当たり前にしているだけ」。
何か、自分以外の物になろうとせず、
自分の中にある当たり前を淡々と続ける。

2泊3日だったけど、とても心に残る旅でした。

また能登に行きたいです!!

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kominka

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